接待の帰り
投稿者:誠也 としひら (5)
こないだお客さん1人を囲んでウチの役員と上司と俺の4人で茨城にゴルフ行ってきたんだ。
宇都宮から出発して1時間くらいの距離でかなり良いゴルフ場だった。料金も良心的で(まあ接待費だから会社の金なんだが)コースもすごく広くてペーペーの初心者の俺でも楽しめたんだ。
んで、お客さんとゴルフ場で別れて、社内のお偉方2人を乗せて車で帰るわけなんだが、帰り道をマップ検索したらきた道の反対ルートが表示されたんだ。まあ、こっちのが早いからそれで行こうってなったわけ。けど、最近のアプリのナビってのは最短距離と引き換えに車で通れるかわかんないくらいのえげつない道を通すんだよ。
ウチの役員も苦笑いで、最近のナビは面白いねぇなんていいながらも、俺は引き返せばよかったと思いながら林道というか森の中の様なところを通った。すごく細い道を2.30キロで走る。お偉方2人は笑ってるけど俺は会社の車ってこともあってぶつけないよう必死だった。
そしたらさ、視線をなんか感じるなと思ったら左手前に野生のフクロウがいたんだ。こんな経験したことなかったから、すごい世界に迷い込んだ感覚になったよ。運転代わって欲しかったけど知らない間にお偉方はバカみたいにイビキかいて寝始めやがったしよ。
でも視線はまだ感じてたんだ。
そう、俺の方についてるサイドミラー、
濃紺のワンピースのシルエットが車の、のろいスピードに合わせてジョギング?してる感じが見える。この場所を流石に走ってるなんてありえないだろと思った俺は真っ先に、ついに俺にもアレが見えるようになったんだ。と思った。
まあ、お偉方2人いたからそんな話出来なかったんだが。ていうか口開けて寝てるし。
サイドミラーを見るのは怖くて出来なかったんだが、運転してるからぼんやりと見ることはできた。やはりずっとついてきてる。
いよいよ俺も背中にじっとり汗が滲んできた。
早く開けた道に出ろとひたすら念じた。
徐々にスピードをあげる、少しでもここを抜けるために。
しばらくして森を抜けることが出来た。
ほっと一息ついて、帰りの道も難なく安全運転で帰ることが出来た。
後日俺はお客さんと商談があったからその話をすぐにしたんだ。上司達も寝てて助けてくれないしなんて話をしてたらお客さんもフンフン笑いながら聞いてたけど、途中からどこの道か、どこのルートから森に入ったかなどと聞いてきた。
俺がゴルフ場を右でなく左に出てまっすぐ行ったとこですぐに山に入ったって話をしたらお客さんは、やっぱりみたいなリアクションで、
「あぁ、それね。幽霊じゃないのよ。」
「割と有名な噂でね、あのゴルフ場経営者の息子だかが不倫して、逃亡したみたいでね。ほぼ精神病になった嫁がその情報だけを頼りにずっとあそこで旦那を待ってるんだって」
「白のプリウスできてたでしょ?旦那が乗ってたのも白のセダンだから狙われてたんだと思うよ。」
そういうローカル情報は頼むから早めに教えてくれ。
これは面白い話
草