(まさか……)
タクトを疑う気持ちが湧き上がる。あいつ、俺の過去を知ってるはずはない。
もしかしたら、サユが……?
まさかな…
気づけば、サユにもタクトにも連絡できなくなっていた。俺の周りから、人が消えていった。
残されたのは、ユウヤだけだった。
⸻
夜遅く、俺は再びユウヤの病室へ行った。
「……来たぞ。なんかこの部屋、アルコール臭くね?」
「気のせいじゃない?」
ユウヤは微笑んだ。病室の隅には紙袋が置いてあった。
「アキト君。君、昔いじめしてたよね?」
「……してたよ。ガキだったしな。でも、今は違う。もうやらない。……そんなことした人間は、社会で生きていく資格なんてない」
「そっか……よかったよ」
ユウヤはゆっくりポケットに手を入れ、何かを取り出した。
――カチッ。
小さな音と共に、火が灯った。
「……じゃあ、罰を与えるね。昔、僕を階段から突き落とした“アッくん”へ」
その声とともに、俺の中で全てが繋がった。
名前。呼び方。声の調子――あのときの、あいつだった。
でも、もう遅かった。
前のページ
3/3
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 23票























※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。