奇々怪々 お知らせ

ヒトコワ

ドライアイスさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

生じた歪み
短編 2025/06/19 21:30 3,752view
0

背筋が凍った。

「なんだよ、急に」

「夢で見たんだ。小学生の頃、誰かにやられたって……最近、そればっかり思い出すんだ」

「……夢だろ、それ」

「そう、だといいけど」

ある日、ユウヤがふとこう言った。

「ねぇ、アキトって……あの大手企業に内定したんだよね? すごいね」

「知ってんのか」

「うん。ちょっとだけ聞いた。……でさ、タクトがちょっと前にアキトのこと羨ましいって言ってたよ。サユとも付き合ってるし、なんか…
“あいつには敵わねえな”って」

(……タクトが?)

「それで、同じところに応募したけどタクトは落ちたんだって。悔し涙を流すタクトなんて
久しぶりに見たよ。」

ユウヤはいつも通りの声で言った。

数日が経った後、サユとの関係もぎこちなくなり、タクトは目を合わせなくなった。

「お前、俺のこと避けてないか?」

「別に。俺、忙しいんだよ」

冷たく言い捨てるタクト。サユにいたってはLINEをしても既読すらつけなくなっていた。

そんなとき、講義後にタクトとサユがレポートを一緒に進めている姿を見た。笑い合っていた。タクトの笑顔は俺に向けられるものよりも、自然に見えた。

「アキトって、昔ちょっとやんちゃだったし……」
「無理しないでいいよ」
2人の会話が妙に耳に残った。

ある日、メールが届いた。

件名:【重要】内定取消のお知らせ
内容:貴殿の過去に関する通報と事実確認により……

膝が崩れ落ちた。

なぜ? 面接では何も言われなかった。履歴書にも、問題はないはずだ。けど――

2/3
コメント(0)

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。