「なぁ、お前んちって幽霊出るってマジ?」
中学の頃、よく俺んちに遊びに来てた友達のユウが言った。
「…ああ、あの話か」
うちの家系はちょっと変わってるって、昔から言われてる。俺のひいばあちゃんが霊媒師だったらしくてさ、今でも仏壇の前で母さんが毎朝なにか唱えてる。
ユウは興味津々って顔で言った。
「一回、お前の家でおるすばんしてみたいんだよな」
「意味わかんねぇよ」と俺は笑ったが、なんだかんだで数日後、母が用事で夜出かける日、ユウと二人で俺の家にいた。
夕方までは普通だった。
ゲームして、飯食って、風呂入って、21時を過ぎた頃だった。
2階の仏間から、「トントン……トントン……」って音がする。
最初は気のせいかと思った。
でも、ずっと同じ間隔で続いてる。
俺が「聞こえるか?」と聞くと、ユウは黙って頷いた。
冗談だと思いたかったが、さすがに気味が悪い。
恐る恐る2階に上がると、仏間のふすまの前で音が止んだ。
静まり返る中、ふすまを開ける。
誰もいない。
……と思ったが、仏壇の前に、何かがあった。
白い封筒だった。
手に取ると、墨でこう書かれていた。
「だれかきたら いれてはいけません」
ゾッとして封筒を元に戻す。
その瞬間、インターホンが鳴った。
「ピンポーン」
心臓が跳ねた。
ユウが階下から「誰か来たぞ」と言う。
俺はあの封筒の文を思い出しながら、玄関モニターを確認した。
そこに映っていたのは――
母だった。
「あれ?母さんもう帰ってきたのか?」























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