俺は自らの手で撃ち殺した恋人の、その死の瞬間を思い出す。
…
懐から拳銃を取り出した俺は、銃口を彼女の頭に向ける。
引鉄を引けば、彼女の頭は吹き飛ぶ。
「私、死にたくない。でも、生きたくもない。だって、この世界で生きている意味も希望も、何も見えないから…。」
自ら死を選ぶ事が、この希望無き世界での彼女の唯一つの希望だった。
だから、俺は、引鉄を引いた。
銃口から放たれた弾丸は、死という形で彼女の願いを叶えた。
しかし、弾丸が放たれる瞬間、彼女の口が動き、何かを呟く。
死の間際、彼女から放たれた最後の言葉は、
「嫌…。」
死にたくはない。でも、死ぬしかない。もう、解らない。
彼女の最後の言葉の意味を理解した瞬間。
彼女の頭は、吹き飛んでいた。
『死にたくない』
『でも、生きたくない』
彼女はそう言いながら、俺に殺された。
…
これは悪魔の呪いか、それとも罰か。
どこで間違ったのか。
もう疲れた。
俺も屍の一つになろう。
俺は銃口を口に咥え、引鉄を引いた。
これが、俺達が選択した、未来だ。
…
…
…
…死の間際。
銃弾が頭蓋を貫く寸前。
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ストーリーがめっちゃ面白い!
エグい、リアル、本当に怖いのは人間、そして哀しい。
この人の作品毎回恐すぎる