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呪い・祟り

yukiさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

僕はこれから『呪われた撮影現場』を実況することになる
長編 2025/05/16 15:36 12,644view
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だが、そんな僕の小さな願いを、現実は非情にも裏切った。

数日後。
カトウさんから、電話があった。
警察は監督の死を、過労と心的ストレスによる自殺と断定したそうだ。
公表はされていないが、壁の文字などは、死体発見のショックによる一時的な集団ヒステリーとされ、オカルト的なものは一切発表されなかった。
だが、その発表には、不可思議なことがあった。
警察が監督の死体を検視したところ、死後数日は経過していたそうだ。
つまり、僕等が監督の首吊り死体を発見する数日前には、すでに監督は首を括って死んでいたのだ。
カトウさんは、そう僕に教えてくれた。
カトウさんは、電話の最後に、僕に尋ねた。
「じゃあ、飲み会の時にミキさんに電話をしてきたのは、一体誰なんだ?」
と。

僕は、××に連絡し、事の詳細を話してみる。
××は、まず僕に変なバイトを紹介してしまった事と、怖い目に合わせる原因を作ってしまったことを、深く謝罪した。
僕は、××が悪いわけじゃないことを伝える。

そして、今回の出来事がなんで起こったのか知りたいと相談してみた。
僕の言葉に××は、あるURLを教えてくれた。
僕は電話を終えた僕はパソコンを開き、そのURLにアクセスする。
そこにある怪談を読んでみろ。
そう××は言っていた。
そこに、今回の出来事の答えがあるのだろうか?
パソコンの画面に記された怪談。その題名は…。
『括リ姫』

それから。
怪談『括リ姫』を読んで、愕然とした。
今回の出来事と、符合する点が多過ぎる。
『封印を穢す人間が死ぬ。』
『開かずの間での首吊り死体。』
『壁一面に書かれた呪いの文字。』
『死者からの言葉。』

まさか…。
僕は考える。
この怪談は、作り話ではない。
本当の出来事だったのではないのか。
AもBも、語り手であるCも、実在した?
そして、僕は気付いた。
僕はその『括リ姫』を目にしてしまった。
監督の死体のあった部屋の奥にいた、白装束の四つの赤い目を持つ、ナニカ。
あれが『括リ姫』ではないのか?
そして、僕はその部屋で、壁の言葉を目にしている。
あれは呪詛の言葉だったのではないか?
つまり、僕も、呪われたのではないか。
あのCのように…。
死の音が近づく感覚。どうしようもない絶望感。これが、真の恐怖…。
僕は、震える手で携帯電話を握りしめ、なす術なく立ち尽くしていた。

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