ゆっくりと右にハンドルを切り、侵入する。
道の両側から木々が覆いかぶさるように迫っていた。
今はほとんど使われていない旧道のようだ。
※※※※※※※※※※
用心しながらゆっくり走っていると、前方に忽然と目的のトンネルが二人の視界に入ってきた。
それは古い煉瓦で作られたアーチ型の小さなトンネル。
入口前には立入禁止のバリケードが並んでいる。
上方には錆びた看板があり「昭和○年築造○○トンネル」と刻まれている。
ネットの情報によると全長500㍍ほどの距離ということだ。
トンネル入口傍の空き地に車を停め、二人は外に出た。
太陽はもう西の彼方に移動しており、辺りはだいぶん薄暗くなってきている。
相変わらず灰色の曇の隙間からは無数の雨粒が降っていた。
彼らは雨から逃れるようにバリケードを乗り越え、小走りでトンネル内に入る。
是枝がポケットから懐中電灯を出すと前方を照らした。
とたんに光の筋が闇を切り裂く。
遥か前方にアーチ型の暗い出口がポツンと見えていた。
湿った白い側壁には等間隔に電灯が並んでおり天井にも蛍光灯があるが、当然今は点灯していない。
※※※※※※※※※※
是枝と絢子はトンネルの中央をゆっくり歩き始めた。
「ああ、何かいやな予感がする。
しかも寒い……」
厚めの白いダウンのジャケットを羽織った絢子が白い息を吐きながら不安げに呟く。
是枝もダウンのフードを被る。
コツン、……コツン、……コツン、……コツン、…

























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