それはちょうど梅雨入りした日曜日のことだった。
是枝は絢子と、ネットで調べた地元の心霊スポットに出掛ける。
絢子は是枝と同じ大学の同級生で、彼の彼女。
二人とも「オカルト研究サークル」に所属するオカルト大好き人間だ。
問題のスポットは市街地から車で北に一時間ほどの山あいにある古いトンネルで、5年ほど前にバラバラ遺体が発見されたらしい。
遺体の身元は地元の中年女性二人で、近辺の林で山菜採りをしていた時に襲われたようだ。
殺害された場所はトンネルを抜けたところにある古い滝辺りだったようだ。
犯人は二人を殺害後、
鋭利なナイフらしきもので頭部や手足を切断し、わざわざトンネル内にこれ見よがしに放置したみたいでその異常性が垣間見得る。
犯人はいまだに捕まっていないそうだ。
事件のあと数年後にトンネルは閉鎖されたのだが、そこを興味本位で歩いた者は奇妙な物音を聞いたり不気味な黒い人影を見たりするということだ。
是枝のサークルの先輩は、こう言う。
犯人は既に亡くなっていて、そのどうしようもない異常な性癖から悪霊として未だに現世を彷徨っているのではないか?と。
※※※※※※※※※※
午後から是枝のオンボロ軽で、山あいにあるその場所に向けて走りだした。
その日は朝から空には不穏な灰色の曇が立ち込めパラパラ小雨が降り、片側に山肌の迫る国道を走っている頃にはワイパーを動かさないといけないほどになっていた。
「何か今回の場所は変な胸騒ぎがする。
ねぇ行くの止めにしない?」
せわしなく動くワイパーの向こう側をじっと見ながら、助手席の絢子が不安げに呟く。
彼女は幼い時から霊感が強く、霊視という特殊能力を持っているようだ。
「もうここまで来たんだから、行くだけ行こうよ」
是枝は嫌がる絢子の言葉を聞き入れず、雨に濡れた山道を走り続ける。
最初の長いトンネルをようやく抜け出てしばらく国道を走ると右手に小さな祠(ほこら)が見えてきて、その横に脇道がある。
ここだ。






















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