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「市之助くんの家に招待してくれるの?」
団地入口前で尋ねる俺に彼は微かに頷くと、さっさと中に進んでいき奥まったところにあるコンクリートの階段を上りだす。
━この棟にはエレベーターがないんだ
と不思議に思いながら市之助くんの背中に従い階段を上り進む。
それから彼は三階の廊下を歩き進み途中にある赤茶けた金属の扉の前に立つと、おもむろにドアを開いていく。
ギギギギ、、、
サッとカビ臭い匂いが鼻を掠める。
中はうちと似たような間取りのようで玄関口からまっすぐ廊下が伸び、廊下沿いには向かい合ってドアがいくつかあり、一番奥はたぶん居間だ。
居間のドアは開け放たれていて、向こう側には何だろう?
手前には大きめのテーブルが一つ。
その向こうには二つの人影が見え隠れしている。
奥のサッシ窓からの逆光が眩しくて、その人たちの姿は黒くボンヤリとしか見えず、はっきりしなかったが、その時俺は説明のつかない違和感を感じた。
というのはその人たちは何をするわけでもなくただ立っているだけなのだが、異様に背丈が高いのだ。
たぶん天井にも届きそうなくらいに、、
しかも二人とも微かに左右に揺れている。
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「ただいま」
市之助くんは一声だすと靴を脱ぎ廊下に上がると、俺も「お邪魔します」と言い靴を脱ぐ。
奥の二人は俺たちに気付いているのかいないのか?ただ相変わらず逆光を背にしてボンヤリとした姿で佇んでいた。
市之助くんは廊下沿いにある一室のドアを開くと、さっさと中に入っていく。
俺も従った。
そこは市之助くんの部屋だろうか?
片隅に学習机があり、壁際にはベッドがある。
学習机の横には棚があり、雑誌やコミックが並んでいた。























こんなに感動したものは初めてです。
名作じゃんけ。
コメントありがとうございます
─ねこじろう