パニックになりながら逃げ出そうとしたけど、
出口がどこにもない。
階段も廊下も、全部グネグネにねじれて、
病院全体が、まるで生きてるみたいに動いてた。
後ろから、ずるずると這い寄る音が聞こえる。
スマホを向けると、
画面に映ってたのは──
人間のパーツを繋ぎ合わせた何か。
頭だけ、腕だけ、足だけ。
それらがぐちゃぐちゃにくっついた、巨大な肉塊。
そいつが、ずるずると、音を立てながら近づいてきた。
コメント欄にはまだ、
「かえせ」「かえして」「かえせ」「かえして」
と、狂ったように流れ続けていた。
叫びながら、俺は走った。
でも、走っても走っても病院の中。
ふとスマホを見ると、
配信中の自分の顔が映ってた。
顔が、無かった。
ただ、裂けた肉と骨の山がカメラの前で蠢いてる。
それが、俺だった。
そして配信は、そこでブツリと切れた。
翌日、
配信を見ていたリスナーたちが、警察に通報した。
警察が廃病院に踏み込んだが、
彼の姿はどこにもなかった。
代わりに、壁一面に、
無数の顔が張り付いていたという。
その中に──
配信者の顔も、あった。
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