体操が終わると、僕が帰るよりもずっと遅くまで残っていた。
木陰に立って、じっと動かないまま。
ある日、僕は帰り道にふと振り返った。
公園の入口の方じゃなくて、奥の茂みの方に白い影が消えていくのが見えた。
追いかけようとしたけど、足が動かなかった。
怖かったわけじゃない。
ただ、あの子は「帰る」のじゃなく、「戻る」ように見えたから。
夏休みのラジオ体操が終わった日、僕はふと気になって体操カードを見返した。
全部で21個しかないはずの欄に、ひとつ多く押されていた。
最後のスタンプだけ、かすれてにじんでいて、インクの色も他と違っていた。
枠の外側。名前のすぐ下。
誰が押したのか、思い出せない。
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