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ですが、後輩の彼は、別でした。
後輩の彼は、もともと、先輩が嫌いでした。
行動力はありますが少々軽薄な人物だった後輩は、
寡黙ながらも真面目に成果を上げる先輩が苦手でした。
その為か、彼は、先輩の奇行の不気味さに嫌気がさし、
ほんの少しの悪意を抱き持って、先輩の奇行を、上司に報告しました。
話を聞いた上司の表情が曇ります。
「彼のその件なら私も知っている。だが、彼のその件については、触れないで欲しい。」
上司は、後輩の彼にそう言いました。
「なぜですか!」
後輩の彼は、上司を問い詰めます。
「わかった。教えよう。」
上司は、例の先輩の身に起きた出来事を聞かせてくれました。
…………
…………
二年前。
新婚だった彼には、生まれたばかりの息子がいた。
彼は、息子を、妻を、家族を、とても愛していた。
ところが、妻がストレスの為か、育児ノイローゼになり、
その事に彼も大いに悩み、心を痛めた。
そして、彼も精神的に段々と追い詰められていった。
ある時。
彼は妻の気分転換の為か、家族三人で旅行に出掛けた。
ところが、その旅先で、
彼ら家族は、事故にあった。
旅行先の、海の見える岬から、転落したのだ。
だが、海へ落下したことと救助の速さが幸いし、彼は助かった。
…しかし、妻と息子は、違った。
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