写真の撮影の場所は、何処かの公園でした。
ですが、その写真には、先輩が言う、家族の…息子や妻の姿は写っていませんでした。
後輩は絶句しました。
ですが、当の先輩はそれを気にする風でもなく、
嬉々としながらその写真を撮った日の出来事を後輩に語ります。
いつもの先輩のように。さも当たり前の如く。
誰も写っていない写真の思い出を語ります。
「あの日は天気が良かった」
「運転中、息子が飲み物を零してしまって大変だった」
「息子が公園を駆け回ってて、滑って転ぶんじゃないかと心配だった」
後日、後輩の彼は私に言いました。「あの先輩、頭、おかしいよ」と。
…
…
…
それから数日後。
後輩はまた、先輩の奇行を垣間見ることになりました。
仕事の合間。休憩中。
先輩は、携帯電話で誰かと通話をしていました。
「パパだよ〜、元気してるか〜い」
どうやら息子と電話をしているようでした。
普段真面目な先輩の口調も、息子の前では砕けるようです。
ですが、先日の写真の一件を訝しむ後輩は、その先輩の姿に不審を感じ、
そっと通話中の先輩に近付きました。
そして、通話の内容を盗み聞きました。
そこで後輩は、戦慄します。
【ツー ツー ツー ツー ツー】電話から聞こえる音は、それだけでした。
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