健太は叫びながらドアノブを回すが、びくともしない。後ろで何かが迫る気配がする。
ドタドタドタ……!!
「助けて!!」
その時、ガチャリと地下室の扉が開いた。
「おや、何をしているんだい?」
大家が、無表情で立っていた。
大家は静かに地下室に降りてきた。健太は助かったと思い、駆け寄ろうとした。
しかし、その瞬間、異様なことに気づいた。
大家の目が、不自然にギラついている。
「地下室には入るなって言ったよねぇ?」
にたりと笑う大家。その口元が、不自然に裂けるように広がる。
まるで、皮膚の下に別の何かがいるように。
「せっかく新しい仲間が来たんだ。逃がすわけにはいかないよ」
健太は叫び、扉へと駆けた。しかし、その瞬間、何かが背中に飛びかかった。
爪がズルッと背中を引き裂く感触。
「う……あ……!!」
暗闇に引きずり込まれながら、健太の視界はゆっくりと閉じていった。
数日後、健太の友人たちは彼に連絡を取ろうとした。しかし、電話は繋がらず、彼の姿も見当たらない。
不審に思い、友人たちは大家に話を聞きに行った。
「健太? あぁ、彼は急に引っ越したよ」
そう言って、にたりと笑う大家の顔が、どこか健太に似ていた。
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