あの人形を触ってはいけないと言っていたのに、なぜ屋敷に残していたのか。
考えれば考えるほど、嫌な予感が膨れ上がる。
屋敷に戻り、祖母の日記を探した。
そして、ある一冊の古びた日記が見つかった。
『この人形は、私の姉のものだった。姉は小さい頃に亡くなったが、この人形だけは家に残った。』
『最初は何もなかった。でも、ある日、私は夢の中で姉の声を聞いた。「私を見て」と。』
『それから、人形の髪が伸びるようになった。ある日、人形の唇が動いた。「帰ってきて」と言った。』
『私は怖くなり、人形を納屋に閉じ込めた。でも、何度も何度も戻ってくる。』
『誰かを連れていかないと、私はずっと離れられない。』
最後の一行を読んだとき、背筋が凍った。
祖母は、俺を家に呼び寄せたのか?
その瞬間、背後から足音が聞こえた。
カタ……カタ……カタ……
ゆっくりと振り返ると。
そこには、
人形の顔をした、祖母が立っていた。
目が覚めた時、俺は祖母の家の奥座敷に座っていた。
目の前には、日本人形。
「……あれ?」
頭がぼんやりする。
何かがおかしい。
立ち上がろうとするが、身体が動かない。
それどころか。
指一本すら動かせない。
――鏡が見たい。
ふと、そう思った。
だが、動けない。
鏡は向こう側の棚にある。
そこに映るのは――
奥座敷に座る、日本人形。
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某番組は「プラモデルには作った人の魂が宿る」って言ってたから、プラモデルでも似た現象が起きるのかも