A男さんは威張るような男ではない、大きな顔なんてしていない、奥さんはそう反論した。
お爺さんは、
「いやいや、威張ってなくても東洋人だろう。
この白人の国で事業を成功させて、この国の女を嫁にした。大きな家を買い、牧場まで作って豊かに暮らしていたんだよ。生意気だと思う輩はいるよ。……そういう奴らがね、旦那さんを襲う計画を立てていたらしいよ」
と、怖い事を言った。
「ええっ!?」
奥さんはショックを受けた。
お爺さんは続けて、
「つい先日、聞いた話だよ。
あんたらが引っ越す数ヶ月前にはね、何度か襲撃をかけようとしたそうだ。だけどその度にアクシデントが起きて頓挫したらしいよ。だから引っ越して良かったんだ。旦那さんは襲われなくて良かったね。」
と、笑顔で言われたそうだ。
奥さんから話を聞いたA男さんは、恐怖に震え上がると共に、亡くなった動物たちは、きっと自分の身代わりになってくれたのだと思った。
最後に残ったパブロが、自分たちから離れなかったのは、迫り来る危険から守ろうとしていたのかもしれない。
※
現在、A男さんも奥さんも亡くなっている。
主人の為に命を捧げた動物たちと、天国で楽しく暮らしていて欲しい。
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忠実なパブロ
可哀想に、人種差別するな。動物達と天国で平和に暮らしてると良いですね