それは、カーテンの下にいた。
ベランダで見た、青い女の足と、子供の足。
そして、もう一つ増えていた。子供の隣に、スーツに革靴をはいた男の足。
男の革靴はボロボロだった。
つま先はみな、こちらを向いていた。
aさんは耐えられず布団をかぶった。
自分の荒い心音と吐息しか聞こえないが耳もふさぎ、朝まで一睡もできなかった。
aさんはその日の朝、引っ越しを決めたという。
これ以上ここにいたら、いつかもっと近くに来るんじゃないか。足がこれ以上増えるんじゃないか。
部屋の中にきた以上、何がおきてもおかしくないと思った。
aさんの後に入った住人も、同じようにベランダに女がでる、とか
子供がいると言って、そのうち引っ越していった。
しかし、その物件は新築でなにか事件や事故が起きた過去はない。
それでも住人がいつかないので部屋のオーナーは何度かお祓いをしたという。
そして、最終的にはオーナー自らその部屋で自死してしまった。
このオーナーは、当時ワンルーム投資をしており、この部屋以外にも3件の物件を所持していた。
他の部屋もうまく住人が入らず、ほぼ自転車操業で物件を売る事もできずに首が回らない状況だった。
その部屋は、今は別の人間が管理しているが、やはり住人の入れ替わりは早いという。
折角の新築なのにケチついちまってもったいない、とこの話をした不動産関係者はため息を漏らした。
前のページ
2/2
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 9票
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。