置き去り
投稿者:たち (34)
バタン!バタン!バタン!バタン!
奥に見える数部屋の扉が勢いよく一斉に開き壁にぶつかった。
この現象を見た瞬間、誰も何も言わずに階段を走りながら降り始めた。
3階から2階に向かう途中、Cがいないことに気づく。
「おい!Cがいない!」
私は前を走るAとBに叫んだ。
しかし、2人は振り向くことなく階段を降りて行った。
「チッ、ったくよー」
2人の身勝手な行動にイラつきながらも3階へ戻るとCが腰を抜かして動けなくなっていた。
「おい、大丈夫か?行くぞ。」
「う、うん…ごめん…」
なんとか立ち上がらせ階段を降り始めた。2階に着く頃になっても3階からは、
バタン!バタン!バタン!バタン!
と扉が開く音が鳴り続けていた。
走ってすぐにでも逃げ出したい気持ちを抑え、Cと一緒になんとか外に出ることができた。
ホテルから出てもまだ3階の音は聞こえている。
後は山を下るだけなので、少し気持ちが楽になりホテルの方をチラッと見返すと3階の全ての部屋の窓に人影が見えた。
あまりの光景に目を疑い、叫びたくなったがグッと抑え急いで下山した。
Cも少しずつ落ち着き始めたので安心していたが、少しだけ心配なことがあった。
それは先に逃げたAとBが車で待っていてくれているのか、パニックになって2人で帰ったんじゃないか、そんなことを思っていた。
しばらくすると車が見えてきたので私は安心した。「さすがに待っていてくれたか」
そう思いながら車に近づいたが誰も乗っていない。鍵がかかったままの状態。
「あれ?2人は?」
「わからない。先に逃げたはずなんだけど…」
「私達置いて先に逃げたのに、あいつらどこにいるの!」
Cを宥めながら2人を待つが来ない。
30分、1時間、待ったが2人は来ない。
「いいよ。帰ろう。」
Cは一刻も早くこの場所から離れたいようなので、私は2人にLINEを入れてタクシーが見つかる場所までCと歩いていくことにした。
その後、無事にタクシーに乗り帰宅することができた。
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