ストーカーはいつも近くにいる【partⅣ】

あの日の深夜N美はここのベランダから隣のベランダに侵入し、準備していた工具でサッシ窓の鍵を開けると、室内に忍び込む。

それからソファーにいた男女を包丁でメッタ刺ししたらしい。

━いったいどうしてN美はそんなことをしたんですか？

ずっと聞きたかった俺の疑問に警察の人は「まだ捜査の途中ですから推測の段階なんですが」と前置きした後、語りだした。

「殺された男性Mさんと犯人の女は、かつて交際していたようです。

ただどういう理由なのか１年くらいで別れたみたいなんですが、その後女はMさんに対し執拗にストーカー行為を繰り返していたようです。

たまりかねたMさんは当時付き合っていた彼女とともに、ここのマンションに引っ越したみたいなんです」

「え！じゃあN美が俺と交際したのは？」

俺の言葉に警察の人は暗い顔で俯いた後、再び口を開く。

「恐らくMさんの部屋の隣にあなたが住んでいたからでしょうね」

最後の警察の言葉に愕然とした俺は、

ボソリと呟く。

━そうか、そうだったんだ。

全てが計画的だったんだ。

呆然として固まる俺を残し、警察の人は立ち去った。

【了】