10分ほどした時、遠くから微かな音が聞こえる感じがした。
バシャ、バシャ、バシャ、バシャ
まもなくして、
ザッザッ、ザッザッ
と音がした。他の3人もどうやら聞こえてる様子だ。
「なぁ?なんか聞こえない?」
「ああ、遠くから聞こえるな」と小さな声で会話をしていた。
ゆっくりだが確実にこちらに近づいてきている。みんな黙りながら耳を澄ましていた。
ザッザッ、ザッザッ
ビシャ、ビシャ
砂浜から川まで移動したみたいだ。
「なぁ、これって…」
「女性の幽霊か?」
友人達は私の作り話を信じ怖がっていた。
しかし、一番ビビっているのは私だ。恐怖と混乱で心臓が飛び出すんじゃないかというくらいドキドキしていた。
テント内は静まり返り、全員動けないでいた。
やがてビシャ、ビシャという音はしなくなった。
「音、しなくなったな」
「何かの動物だったのかな?」
みんな徐々に落ち着きを取り戻してきて、テント内にピリッと張りつめていた空気が少しばかり緩んだような気がした。
「どうしてワタシだけ…なんでタスケテくれなかったの?」
私はビクッと体が反応して動けなくなった。
それは他の3人も同じように見えた。
間髪入れずに、
「どうしてワタシだけー!!なんでータスケテくれなかったのー!!」
今までとは違い叫ぶような声に私はすっかりビビってしまっていた。あまりの恐怖で何も言えず、体も動かない。
「やばい、やばい、やばい」と心の中で何度も呟いていた。また鼓動が早くなってきた。
「どうしてワタシだけー!!なんでータスケテくれなかったのー!!」
外では何者かが叫び続けている。
寝袋を頭から被るもの、耳を塞ぎブツブツと念仏みたいなのを唱えてるもの、放心状態となっているもの、テント内はとんでもない状況だった。
私はこの状況をどうにか打破したいと思い、
「やめろーー!!」と叫んだ。
私が出来る精一杯の行動だった。
私の声で我に返ったのか、後を追うように、
「うわぁー!!」
と友人達が声を出した。
しばらくすると、外からの叫び声は聞こえなくなっていた。
私達は全員、大声を出し過ぎて息をきらしながら目を動かしながら全員の安否を確認していた。
それからどのくらいの時間が過ぎただろうか。
少しばかり安心した私達は深呼吸をして落ち着いてきた。
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