有料テレビ
投稿者:ねこじろう (153)
長編
2025/01/01
05:55
4,502view
すると、
俺に気付いた主人が訝しげな顔でカウンター向こうからこちらを見る。
警察官も肩越しにジロリと振り向いた。
「今日まで泊まりたいんだけど」と言うと、主人は無言でカウンターの上に記入用紙とボールペンを置いた。
その時俺はアッと声を出しそうになる。
─右手の甲に「X」のタトゥー!
思わず主人の顔を見た。
「何か?」
主人はまた怪訝な顔をして俺を見る。
「い、いや……」
少し慌て気味で記入していると、
「じゃあ、社長またな」
と警察官が主人に軽薄そうな笑顔で言うと、カウンターを離れ玄関口に向かう。
そして靴に履き替え鼻歌を歌いながら引戸を開きだした。
その時俺はハッとする。
━あの鼻歌のメロディーは、、、
思わずまた玄関口に視線をやる。そしてゆっくり向き直ると、恐々と主人の方を見た。
彼は相変わらず聖書を熱心に黙読している。
俺は用紙を記入すると、再び部屋に戻ろうと廊下を歩きだした。
それから何気にカウンターの方に視線をやった瞬間、ドキリとする。
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 12票
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。