「当たり前じゃない、でなかったら貴方みたいなオトコ女、部屋に泊めたりしないわ」
というのがスイートルームお泊まり会の真相だった。
その後、寝ろと言われて簡単に寝れるほどのび太くん的才能を持ち合わせていなかった俺は最初こそベッドで横になって目をつぶったりしていたがどうしても寝れないので鎖が定期的に散らかす部屋を掃除したり長年溜まった浴槽の汚れを取ったりして時間を過ごした。
どうして時給が発生してないのにバイト中と同じような事をしなくてはいけないのかと最初こそ思ったが、考えてみれば明日もここに清掃に入るのは俺なわけで、この暇なうちに少しでも明日の仕事を減らしておくのはある意味得策だった。
そして夜。
鎖はそれどこで売ってるん?と思わず詮索したくなってしまうようなゴシック風な黒パジャマに着替えるとベッドへ入ってしまった。
ベッドに下半身を潜らせると鎖は靴下で床の水滴を踏み抜いた時のような不快感全開の顔を貼り付けて「32点」と俺に言い放った。
「なんの点数?」と聞いたが教えてはくれなかった、これは後の話になるのだが鎖が寝て2時間ほど経って「あーベッドメイクの点数か」と気づいたのは言うまでもない。
あともちろん俺のベッドと鎖のベッドは別である、スイートルームなだけあってベッドは余分にあるのだ。
「それじゃあ、アレに何か変化があったらすぐに起こしなさい、あと朝6時になったら起こしなさい。あと起きてすぐ朝食が取れるように事前にルームサービスを注文しておきなさい。あと」
「あと〜」から始まる鎖の注意事項だけで立派な業務マニュアルが作れそうだった。
覚え切れるわけが無いのでメモをとる、仕事してる気分になってきた。
「あと起きたらすぐ入れるようにお風呂を沸かしておきなさい、温度は35℃、入浴剤と泡風呂、分かったわね?」
「へいへい」
鎖のクソ対応マニュアルをメモ帳で作成していると俺は不意に沸いたあくびを抑えた。
どうしよう、俺も今更になって少し眠気を感じてきてしまったのだが。
鎖が寝たら俺もこっそり寝ようかな。
そんな悪巧みをしているとそれを見透かしたように鎖が釘を指してきた。
「貴方は寝ちゃだめよ、もし私が寝たあとに勝手に寝たりしたら部屋に知らない人が入り込んだって通報するから」
多分まじだろうなと思った俺は部屋に備え付けられたコーヒーを沸かす準備に取り掛かった。
コーヒー片手に戻ってくると鎖は既に寝ていた、のび太くん的才能を持っていたのはお前の方かと心の中でツッコむ。
椅子に腰掛けコーヒー豆の香ばしい匂いを鼻腔に通しながら件の霊を見やる。























けっこうこわかったです。
さすがに44Pもあると途中で挫折しました。
ぜひ今度5Pくらいの短縮版を書いてください。
怖くはない。だが悪くはない。
しんれいかいきみすてりーふうの、とあるぼうけんたん、ちょうへん。
主人公が俺っ娘だとは、ある一節まできがつかなかった 。
いつも空いている席の正体に続く、二作品目読ませていただきました。ジャンルとしては、心霊というより田舎・伝承系でしょうか。
師匠シリーズ、なつのさんシリーズのように登場人物に統一性があり、続編小説を読んでいるようでとても面白いし、なるほど、と思える話でした。次の話も楽しみにしています。
一作品目の話と、こちらの話は、朗読させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
俺は高2なのに1コ上の石野さん大学生なんです?