キリッといつもの冷血な目線を向けてくる。
正直、恩着せがましい事を言ってしまったのは申し訳ないと少し反省している。
俺だって必死だったんだ。
「でも、あなたに恩を売られてると思われながら生きるのも不愉快だから……だから今回だけよ」
「あ……はい…」
「この先の学校生活はこの恩を私に返すためだけに使う事ね」
そう言って鎖は勢いよく教室の引き戸を閉めた。
俺の学校生活は、どうやらこの負債の支払いに全て使われる事となったらしい。
まぁあんな美人の言うことなら、少しは聞いてもいいなと謎の衝動にかられながら俺は教室の壁に貰った御札を貼っていった。
時刻を見る18時半だ。
あと5時間半か。
何とかなるだろうか。
助かるだろうか。
俺は教卓の上に座って窓の外を眺めた。
無事に帰れたらラーメンを腹がはち切れるくらい食おうと決心したのだった。
どれくらい経っただろう。
教室の壁に掛られた時計を見る。
11時30分だ。
あと30分か。
正直思ったより何も起きなかった。
いや起きたは起きたが。
床に置いてある俺の体液が入ったペットボトルを見やる。
トイレを済ませてから御札を貼ればよかったと自分の命をかけた戦いをしてる最中とは思えない抜けた事を考えていた。
ぺち…ぺち。
何かブツブツと呟く女の声と、ぺち、ペち、という樹脂で出来たツルツルの廊下を裸足で出歩いているような音が定期的に聞こえてくる。
この話は怖かったですか?
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えっ、最後びっくりした
「床に落ちた何か」てなんだったの?