民宿
投稿者:きのこ (15)
短編
2024/12/24
12:14
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やはり、パチンパチンという音が一定間隔で聞こえてくるだけです。
そこで、私は音をたてないようにゆっくりとドアを開き、その隙間から部屋を覗きこみました。
すると中には5歳くらいの女の子がいて、その女の子をあの女性が平手打ちをしていました。
思わず悲鳴を上げそうになりましたが、必死でこらえました。
あの気さくな女性が鬼のような形相で、女の子の頬をバシバシと叩いているんです。
そして、なにより不気味だったのが、その叩かれている女の子がなんの反応もしていなかったことです。
頬がパンパンに腫れていて、口からは血が滴り落ちているのに、無表情で天井を見上げていました。
止めるべきだ。
私はそう思い、ドアを開けようとしました。
そのとき、ふと、女の子と目が合いました。
すると女の子は、私を見て、ニッコリとほほ笑んだんです。
本当に嬉しそうに、ニッコリと。
私は怖くなり、自室に戻って布団を被り震えながら朝を迎えました。
朝になると女性は何事もなかったように朝食を用意してくれました。
私は昨日の夜、変な音が聞こえたというと、女性は「ここ、家鳴りがひどいんですよ」と困ったように笑いました。
朝食はほとんど喉を通らず、女性にどうしたのかと尋ねられたが、昨日の夜に食べ過ぎたと言い訳をしました。
私はすぐに帰る準備をして、民宿を出ました。
女性はもう少しゆっくりしていけばいいのにと言ったが、そんな心境ではありませんでしたから。
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