父の人生
投稿者:太山みせる (37)
キヨ婆に助けられた人たちは、よく食べ物を持ってきてくれました。
だからお金が酒代にかわっても、どうにか食べていくことはできたのです。
父はキヨ婆のことは大好きですが、実の両親のことは大嫌いだといいます。
そんな両親を反面教師にして、父は一心不乱に勉強をしました。
お金がないので進学は難しいだろうと諦めていたので、学校にいられるうちにと頑張ったそうです。
その甲斐あって、成績は学年でトップでした。
社交的でコミュニケーション能力にも長けていて、先生や同級生たちにも人気だったと、その当時の父を知る人はそう言ってくれます。
今でもそれらの能力は高いです。
どうしたらそんなに上手く人と交流できるのかと訊いたら、子供の頃からたくさんの人と関わって鍛えてきたからだと言われました。
父はたくさんの村人と仲良くなり、お菓子をもらったり優しくされたりしました。
高校に行くのを諦めた父に、血も繋がっていない人たちが何人も、進学の援助をしようとしたそうです。
ですが、父は断りました。
お金を出してもらったら怠け者の両親が、ますますつけ上がるだろうと思ったからです。
彼らの借金は増えていくばかり、これ以上は人に迷惑を掛けたくなかった為、父はたくさん働きました。
親の借金を返す為、父は昼も夜も関係なく働きました。
頑張って両親の借金を返したのは22歳の時です。
本当はもっと掛かるはずだったのですが、周囲の協力があった為、どうにか7年で返せました。
その間に、キヨ婆も両親も亡くなったそうです。
その後、父は会社を起こして大成功しました。
漁業のやり方を進化させて、地元の人たちを雇用し、莫大な富を得ました。
そのお金の大半を地元に寄付して、村を豊かにしたのです。
移住者も増えて、村を町にしました。
父は、今では地元の名士です。
さて、地位も名誉もお金も手に入れた父ですが、結婚は遅いものでした。
女友達はたくさんいるのに、相手を『女性』と認識すると、自分の容姿に自信がないから、気後れしてしまうんです。
ズングリした体型と、整っているとは絶対に言えない顔立ち、確かに容姿は良くないです。
女にモテないのは仕方がないのです。
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