事故物件
投稿者:きのこ (6)
ただ、その人は女性なので、男の子自体は別の存在だ。
他にいると考えると、ご先祖様の被害に遭ったらしき子供が2人いたことは知っている。
私は祖母と母のことしか知らないが、祖母には本当はもう1人子供がいて、男の子だったらしい。
その子はまた原因不明だが、1歳の時に体が弱って死んでしまったらしく、今生きているのは3人姉妹だけだ。
母も、私と妹の他にもう1人子供がいたが、その子は生まれてくることはなかった。まだ性別が分からない頃に死んでしまったが、その子はなんとなく、男の子のような気がする。
幼い頃は、私には水子が1体憑いていた。
夢の中でよくその子と遊んでいたが、自分より小さな男の子だったからだ。
仏壇の間にいる男の子は5歳くらいなので、関係ないかもしれないが。
災いを呼ぶ男の子は、なぜ我が家の仏壇の間にいるのだろう。
私は取り憑かれる度に死にそうになるが、男の子からは悪意は感じられなかった。
普通は悪意を持ったものが近くにいれば、細い針で全身覆われたように、痛くてビリビリした感じがするし、体調が悪くなって、耳鳴りもする。
しかし、男の子に取り憑かれていても、特に何も感じなかった。
取り憑くときも楽しそうに、ピョンっと飛んでくるのだ。
そして、もう1つ気になっている事がある。
仏壇の間の壁には、とても古い、小さな鏡が掛けてある。
若い女性が使っていそうな丸い鏡は、手のひら程の大きさで、可愛らしい赤い紐飾りがついている。それは質素な仏壇の間の雰囲気には、似つかわしくないものだ。
鏡の表面は少し凸凹していて、覗のぞいても顔はハッキリとは映らない。
おそらく、現代の技術で作られたものではないと思う。
もっと昔のものだ。
母が小学生くらいの頃までは、我が家には本物の刀があったらしいので、もしかすると江戸時代のものかも知れない。
そして幼い頃は、その鏡の中でチラチラと何かが動くのが視えていた。
夜に電気はついていないのに、突然光った事もある。
気にはなったが、高い位置に鏡が掛けてあったので、幼い私では覗くことができなかった。
———また鏡が気になったのは、小学校の5.6年生くらいの頃だ。
家で法事があり、その最中に鏡の中で何かが動いたので、気になった。
ちょうどその頃は背が伸びて、鏡は自分の顔の高さにある。
近付いていくと、花がたくさん咲いた庭と、赤い橋が架かった池の風景が視えた気がした。
———あれは、なんだろう……?
私が鏡を覗き込むと、それはすうっと、消えてしまった。
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