狂った兄さん

今日は11月29日。いい肉の日、の語呂合わせなので、家族４人で、肉しゃぶパーティーだ。
ところがその喜びを遮るように「ゴトッ」と郵便受けに手紙が入れられた。手紙をかくにんすると、新聞の夕刊だった。でも、それをとったあと、青くインクが変色した手紙が入っていた。
兄からの手紙だった。内容は、

家族のみんなへ
十月二十九日

きょう、牢獄に入って２年と10か月と少し経った。あと２か月でここから出れる。
脱獄や脱走を何回もして、刑期が伸びたけど、やっとおわりだ。いろいろと
することはいろいろあるけど、一番にそっちに向かう。
ひと
ひとりぼっちにしないで。そうしたら、心壊れて、人を
●しちゃうから。
た異変だと思うけど、あと2か月の辛抱お願いします。

陽太
お兄ちゃんは
前を向いて、頑張るから
はんざいをしたお兄ちゃんだけど
許してくれ
佐奈
いろいろと本当にありがとう。

と、こんな感じだ。ちなみに、陽太とは僕のことで、佐奈とは、僕の妹だ。
けれど僕は、本当のこの文の意味に気づけなかった。そのせいでぼくは、佐奈と母と父の3人だけにさせてしまった。

解説
縦読みです。
きょう、　牢獄に入って２年と10か月と少し経った。あと２か月でここから出れる。

脱獄　　　や脱走を何回もして、刑期が伸びたけど、やっとおわりだ。いろいろと
する　　　ことはいろいろあるけど、一番にそっちに向かう。
ひと
ひとり　　ぼっちにしないで。そうしたら、心壊れて、人を
●し　　　ちゃうから。
た　　　　いへんだと思うけど、あと2か月の辛抱お願いします。
陽太
お　　　　兄ちゃんは
前　　　　を向いて、頑張るから
は　　　　んざいをしたお兄ちゃんだけど
許　　　　してくれ
佐奈（さな）
い　　　　ろいろと本当にありがとう。