慧理命
投稿者:セイスケくん (29)
短編
2024/11/18
21:26
165view
「元日未明、橘礼司、心臓発作で急死す。」
彼は震える手で巻物を握りしめ、叫んだ。
「こんな未来、変えられるはずだ!」
だがその瞬間、橘の胸に鋭い痛みが走り、声を詰まらせ床に崩れ落ちた。
翌朝、ホテルのスタッフが部屋を訪れると、橘は冷たく横たわっていたという。
机の上には巻物が残されていたとされるが、その後、それがどこに行ったのか知る者はいない。
***
慧理命の名は、一部の霊感を持つ者たちの間で語り継がれるようになった。
「慧理命に未来を問うた者は、必ず代償を払う」という噂や、巻物の内容を盗み見た者が奇妙な死を遂げたという都市伝説もささやかれる。
果たして、橘が見た未来の巻物は実在するのか――それとも、全ては慧理命の試練だったのか。
真実を知る者はいないが、その名を口にする者は、今もなお後を絶たないという……
前のページ
3/3
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 1票
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。