ゲシュタルト崩壊
投稿者:セイスケくん (28)
数日後、Yはさらに異常な体験をする。
スーパーで買い物をしていた時、商品のパッケージに書かれた文字が、すべて「ユ」に見えたというのだ。
「牛乳」も「カレー」も「冷凍食品」も、すべて「ユ」で埋め尽くされていた。
「頭がおかしくなったのかと思った。逃げ出すように店を出て、家に戻ったけど、それからは本当に地獄だった。」
Yはその後、鏡に映る自分の顔にまで「ユ」の文字が浮かび上がるようになったと語る。
そして、最後の投稿はこう締めくくられていた。
「俺は今、この文字を見続けてる。もしかしたら、もう戻れないかもしれない。
誰か、俺の話を聞いてくれ。でも、絶対に試すな。試したら終わりだ。」
その投稿は翌日、掲示板の管理人によって削除された。
「理由は不明だが、不適切な内容が含まれていたため」とのこと。
だが、その後、ネット上では同じ現象を体験したという報告が次々に寄せられた。
心理学者の間でもこの話は注目されたが、科学的な説明はなされていない。
ただし、一部の専門家は興味深い仮説を提示している。
「文字というものは、人間の意識に深く結びついた象徴であり、特定の条件下で無意識を直接刺激する可能性がある。
ゲシュタルト崩壊が引き金となり、普段は抑圧されている潜在意識が暴走するのかもしれない。」
しかし、もっとも不気味なのは、「ユ」を見続けた人々が、最後には全員行方不明になっているという点だ。
警察の捜索でも手がかりは見つかっておらず、まるで彼らがこの世から「消えた」かのようだという。
もし、「ゲシュタルト崩壊」を試してみたいと思ったら、どうか慎重になってほしい。
特定の文字には、人間がまだ理解できない「何か」が宿っているかもしれないのだから。
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