足止めの術
投稿者:セイスケくん (23)
長編
2024/11/17
15:50
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娘はその後、ぽつりと続けた。
「あのときのことは、まだ夢の中の出来事のように感じる。でも、もうあそこには戻りたくない」
河原さんは娘の言葉を聞きながら、心の中で何度も祈りを繰り返した。これからも娘を守り続けると。そして、自らも強く生きていくと。
母と娘の絆は再び結び直された。
しかし、あの日の出来事が果たして偶然だったのか、それとも霊能者の術の力によるものだったのか――河原さんの心には、未だに暗い影が宿っている。
それでも、娘の手を決して離さないという決意だけは揺るがなかった。
二人の新しい日々は、ゆっくりではあるが確実に始まっていた。
家族としての絆を再構築し、どのような困難が待ち受けていても、互いに信じ続けるという強い意志が彼女たちを支えていた。
その後、河原さんは地域のサポートグループに参加し、同様の問題に直面する親たちと情報を共有し合うようになった。
娘もまた、自らの経験を少しずつ語ることで、他の若者たちに警鐘を鳴らし、同じ道を辿らないよう訴える活動に参加するようになった。
そうした取り組みを通じて、二人は新たな人生を切り開いていった。
どのような過去の暗い影があろうとも、未来を共に歩む力を持つこと――
それこそが、河原さんと娘にとっての“救い”であり、“新しい希望”であった。
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