廃ビルでの出来事
投稿者:吉記 (1)
短編
2024/11/10
19:07
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Aの話によると、Aは浸水した地下の奥に人が立っているのを見たらしい。
それはガリガリの身体にボロボロのバスタオルを巻いた女で、俺達の方を見てニヤリと笑ったらしい。
「見間違いかもしれないしと思って何も言わないでいたんだけど……先に言っとけばよかったよな。ごめん」
Aに謝られ、俺とBは顔を見合わせた。
「いや確かに怖い思いはしたけど、別にAのせいじゃないよ。気にすんな」
そう言ってAを慰め、その後解散した。
それから数日後に、Bが行方不明になった。
俺とAは怖くなり、桃ビルでの出来事を全て大人達に話した。
当たり前だが、親にも先生にも警察にも死ぬほど叱られた。
しかしその結果、桃ビル内の捜索が行われ、Bは無事保護された。
俺はBが桃ビルにいたということを聞いただけで詳しい状況は知らなかったが、しばらく寝込んだ後目覚めたBは俺達と桃ビルに行ったことも、自分が一人で桃ビルに入り込んだことも忘れてしまったようだった。
その後、桃ビルに入ったことがあると言っていたAのお兄さんの友達から、衝撃的な話を聞かされた。
桃ビルの階段は壁で覆われて封鎖され、地下に降りることも2階に上がることもできないはずだと。
じゃああの時、俺達はなぜ地下と2階に行けたのか?
行方不明になっていたBは桃ビルのどこに居たのか?
桃ビルは現在は取り壊されてなくなっている。
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