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呪い・祟り

ねこじろうさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

発狂する黒い煙突━全ての働く方々へ━
長編 2024/11/01 02:51 15,875view
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澁谷が訝しげに問い返すと男性社員は一冊の分厚いファイルを書棚から抜き取り、彼の傍らまで歩く。

そしてそれをデスクの上に置くと適当に開いた。

A4サイズくらいの紙には手書きでびっしり文字が書かれている。

男性は続ける。

「例えばこれは当時の社員の営業日報だ。
手書きだから結構書き損じがある。
きみはファイルの一ページから最後まで目を通してから書き損じを発見したら正しいものに訂正する。

訂正の仕方は、
まず間違っている文字の上から定規を用い0・5の黒のボールペンで二本の直線をひき、その上に自分の認め印を押す。
それからその行上方の欄外に○文字削除と書き、その横に正しい文字を記す。
これが正式な訂正のやり方だ。
例外は認めない。
そして終わったら次のをやる。
それを定時までやる」

「それだけ?」

そう言って澁谷が唖然としながら男性社員の顔を見ると、

「ああ、簡単だろ?」と彼は返した。

それから「じゃあ頑張れよ」と軽く微笑み入口ドア前まで行ったところで振り返ると、

「ああ、それと、一つの部署の訂正が全て終わったらM部長のところに行って報告するようにな」

と付け加え立ち去った。

※※※※※※※※※※

3/12
コメント(4)
  • オカルト的な怖さより普通の人が正気を失って行く様がとても怖い。それが戦時下であれ企業であれ平気で追い詰めて行く人の存在はもっと怖い。

    2024/11/02/17:32
  • コメントありがとうございます
    正に人間の所業こそが恐怖です
    ━ねこじろう

    2024/12/02/11:00
  • 会社の人達(田中さんを含む)の主人公に対する接し方の違いが緻密に書かれているのが良い!主人公は「訳あり部署」で一人仕事をさせられる孤独感や虚しさ、哀しみを、田中さんとの会話で紛らわしていたのでしょうか。

    2025/05/11/23:19
  • このお話の田中さんが好きで、時々読みに来ています。総務部資料係の男性は温厚そうですが、本当に主人公に純粋な好感を寄せていたのでしょうか。穿った見方かもしれませんが、小癪な大学の同期が自滅行為をしてくれたので、安堵しているのかもと思いました。

    2025/07/09/21:13

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