だが、この後の行動は酔って気が大きくなっていたため実行したのだろう。
私は鏡の中の5番目の個室を視界に入れたまま少しずつ後ろに進む事にした。
鏡の中の私もジリジリと後ずさりしながら5番目の個室に近づいていく。
5番目の個室から視線を外さないように注意しながら4番目の個室に手をつく。
後ろを振り返ると当たり前だがすぐ壁だ。
鼓動が早くなるのを感じながら鏡を見る。
4番目の個室に手をついた自分が見える。
相変わらず5番目の個室がある。
慎重に1歩後ろに下がる。
壁にぶつかることなく、5番目の個室が視界の右手に現れた。
空気が変わったとか、嫌な雰囲気がまとわりつくとかでもなく、なんの抵抗もなく辿り着いてしまった。
この奇妙な現象に混乱しつつも、
右を見ると、5番目の個室が確かに存在した。
手前から個室を数える。
1、2、3、4、5。
開いている扉の中は他の個室と変わらずトイレが設置されている。
なんの違和感もない。
心臓は相変わらずうるさいくらい脈打っているが、私は個室に入り扉を閉めた。
落ち着いた空間。
トイレでするのは如何なものかとは思うが
深呼吸して気持ちを静める。
いつもの癖で水を流そうと赤外線に手をかける。
と同時に
コンコン。
ギクリと硬直する。
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けつこうこわいな