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呪い・祟り

ねこじろうさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

消えた観光バスの話
短編 2024/10/02 16:48 3,254view
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━いや、ちょっと待て。
それはおかしい、あり得ない!

と俺の心に疑念が湧き起こる。

もしバスがガードレールを破壊しその先に落ちたのなら俺もバスに追随し、同じ運命を辿っていたはず。

またバスが落ちることがなかったなら、俺の車はバスの後部に追突していたはずだ。

いよいよ頭が混乱しだした。

━そもそも、バスはどこに行ったんだ?

俺は首を傾げながらネジ曲がったガードレールの際まで歩くと、その真下の崖を覗き込んでみる。

視界の遥か先に入るのは真っ暗な林らしき影のシルエットと、さらにその向こうにうごめく鉛色の海。

よく見えないので俺は車のダッシュボードから懐中電灯を引っ張りだして持ってくると、照らしてみる。

だが確認できるのは鬱蒼として絡み合う木々だけで、バスの姿などどこにも見当たらなかった。

呆然としながらふと左側の法面辺りを見ると、そこに奇妙なものがあるのに気付く。

何だろう?と俺はそこを懐中電灯で照らし、ゾクリとした。

そこにはたくさんの花束やお菓子が地面に置かれている。

━かつてここで何があったと言うんだ?

訝しげに思っていた、正にその時だった。

ちぇっ、もう少しだったのにな

突然崖下の暗闇から聞こえた男の子の甲高い声。

そしてその声の後に続いたのは、さも楽しそうにケタケタ笑いあう男の子たちの声。

━誰かいるのか!?

思いながら俺はガードレールの際まで走り、懐中電灯で崖下を照らす。

そして一瞬で背筋が凍った。

その時に見た光景を俺は生涯忘れないだろう。

光の輪っかが浮き彫りにしているのは、崖下で複雑に絡み合う木々の枝。

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コメント(4)
  • 面白かったです

    2024/10/02/17:28
  • 古典的な怪談話で良いっすね〜

    2024/10/02/22:01
  • コメントありがとうございます。
    ━ねこじろう

    2024/10/03/11:33
  • こういう時には,念のために救急隊員にも下を覗いてもらった方が良い。
    実は怪我人が「もう少しの辛抱だぞ」と励まし合っているのをパニックで「もう少しだったのに」と聞き間違ったり,見つけてもらった怪我人が安堵の笑みを浮かべたのを「不気味にニヤリと笑った」と見間違ったりすることが実際にあるから。

    2024/10/08/15:18

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