消えた観光バスの話
投稿者:ねこじろう (150)
いきなり眼前に水平線が広がりガードレールが間近に迫ってきていたんだ。
「うわ!」
慌てて力一杯ブレーキを踏み込んだ。
派手なブレーキ音とともに車は勢いよくガードレールに衝突し、その衝撃で俺もM子も体ごとフロントガラスにぶつかった。
※※※※※※※※※※
それからいったいどれくらい意識を失っていたのだろうか?
ようやく俺は覚醒した。
額と右腕がズキズキ痛む。
正面を見るとフロントガラスにはヒビが入っておりボンネットはぐしゃぐしゃにネジ曲がり、中から白い煙が出てきていた。
横を見ると助手席のM子も目を覚ましており、ぐったりシートに寄りかかっている。
彼女も額に青アザが出来ており、少し血が流れている。
車から脱出しM子を何とか外に出し、それからすぐに119に電話した。
アスファルトに体育座りし、無言で俯いているM子。
その傍らに俺は寄り添うと、額にハンカチをあててやった。
改めて見ると、車はガードレールが逆U字になるくらいの状態で停止していて、前面はぐしゃぐしゃに大破しており白い煙をもうもうと吐いている。
もしガードレールを突き破っていたら、奈落の底にまっ逆さまだっただろう、、、
そんなことを考えると、ゾッとした。
※※※※※※※※※※
そして救急車が来るまでの間俺はM子の傍らに立ち、大破した車を眺めながら事故の状況を考えてみる。
━ちょうどカーブに差し掛かったとき、バスは運転手の何らかのミスでハンドルを切らずそのまま直進したのだろう。
それでバスに阻まれカーブに気付かなかった俺はそのままバスに追随し反対車線を横切りそのままガードレールに突っ込んだのだろう。
そんな風に結論づけしようとしたのだが、
面白かったです
古典的な怪談話で良いっすね〜
コメントありがとうございます。
━ねこじろう
こういう時には,念のために救急隊員にも下を覗いてもらった方が良い。
実は怪我人が「もう少しの辛抱だぞ」と励まし合っているのをパニックで「もう少しだったのに」と聞き間違ったり,見つけてもらった怪我人が安堵の笑みを浮かべたのを「不気味にニヤリと笑った」と見間違ったりすることが実際にあるから。