神社に行くと、あの子がいた。
でも、お兄ちゃんの姿は見えない。
「お兄ちゃんはどこに行ったの?」
「缶蹴りが楽しかったみたいで、満足して遠くに行ってしまったよ」
小学6年生の俺はその子が涙ぐむ理由も分からず、二人でずっと遊んでた。
やがてお盆になり、親戚が来るとその子はいなくなった。
正直すでにべたぼれだった俺はショックだったけど、
川遊びや虫取りが解禁されるわけだから夢中になって遊んだ。
お盆が終わり親戚も帰り、両親から帰る?と聞かれたが、
まだじいちゃんちにいたい、と夏休み終了までいることになった。
俺一人で神社に行くと、あの子がいた。
二人でおしゃべりしたり、あやとりしたり、鬼ごっこしたりかくれんぼしたり。
相手が女の子だからあまりアクティブなことはできなかったけど、
その子を好きだった俺は何も苦じゃなかった。
そんなこんなで高校1年生になった俺は、
まだあの子が好きだったけど年に1回しか会えないし、
高校生になれば出会いもあるわけで、彼女ができた。
初めて夏休みにじいちゃんちに行かなかった。
翌年、結局付き合った子とは長続きせず、お盆期間だけじいちゃんちに行った。
少し大人びたあの子がいて、思いっきり惚れ直した。
でも思いは伝えられず、この関係のままでいいと思ってた。
もはや鬼ごっことかする年でもないから、
ずっとしゃべってるだけなんだけど、それはそれは幸せな時間だった。
高校3年生の夏、夏期講習やら何やらで忙しい夏休みだったが、
2日間だけじいちゃんちに行くことに。
目的は宴会で酒を飲む事と、もちろんあの子に会うこと。
一人で神社に行くと、あの子は去年より背が伸びているような気がした。
大学生になる前に、想いを伝えよう。
なんとなく自分の中で、会いに行く前に決めていた。
意を決して、想いを伝えた。
怖いより悲しいの方かな
せつない…
切ないなぁ
打ち上げ花火の歌詞が頭をよぎったね
切ない
いい話だなぁ!
純愛だね!
切替えてこー
切ないけど、いい話!映画にして欲しい。
何度見ても悲しい蛍火の杜を思い出した。