マッチングアプリの怪物
投稿者:ねこまんま (1)
「あぁもうダメ…フヒ-…我慢できない…!フヒ-…」
Aさんが滾り始めてきました。
このままだと餌食になるのは時間の問題です。
逃げなきゃ逃げなきゃ!どうしようどうしよう!
汗でふやけた脳みそで必死にここから逃げ出す方法を考えました。
そして僕が考えに考え抜いて講じた策は「Aさんがシャワーを浴びている間に逃げる」という安直なものでした。
これ以上迷ってる時間はありません
僕はバクつく心臓を押さえつけて平静を装いながら
「あの…する前にシャワー浴びてきませんか…?」
とAさんにシャワーを浴びてくる事を提案しました。
その提案にAさんは
「確かにいっぱい歩いて汗かいちゃったもんね、じゃあ一緒に入ろっか!」
と予想の斜め上の回答をしてきました。
一瞬口から内臓が出そうになる程焦りましたが僕は咄嗟に
「いえ!別々に入りたいです!Aさんの裸を見るのはシャワーを浴びた後の楽しみにしたいんです!」
と返しました。
それを聞いたAさんは
「かわいいなぁも〜!そんな事考えてくれてたの〜?それなら先に入るわ〜」
と納得して上機嫌になり、意気揚々と鼻歌を歌いながらクローゼットからタオルとバスローブを取り出し始めました。
そしてニヤニヤしながら
「今日はすごい夜にするからな?覚悟しとけよ、グフフ」
と言い残してバスルームに入っていきました。
このままここにいると危険だ
僕はシャワーの水が流れる音を確認すると急いで荷物をまとめて一応ホテル代にと1万円札をテーブルに置いて逃亡を図りました。
老朽化の進んだ古いホテルだったので床の軋む音を立てないように抜き足差し足で部屋の出入り口へと向かいました。
そしてドアノブに手をかけてそーっとドアを開けようとしたその時にギィィィィ…っと思ってたよりもずっと大きい音が部屋に鳴り響きました、シャワーの音は止まっていました。
やばいこれは絶対にバレたと思った僕は靴も履かずにダッシュで廊下を駆け抜けてエレベーターへと向かいました。
僕のいるフロアは7階でしたがエレベーターは人が乗り降りしているのか1階で止まっていました。
「くそ!くそ!くそ!何でだよ何でよりによって1階なんだよ!」
僕が焦りながらエレベーターのボタンをカチカチカチと連打していると後ろの方からバァン!と音がすると同時に「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!何でだよぉぉぉぉぉ!!」とものすごい叫び声とドタドタとこちらに向かってくる足音が聞こえてきました。
話は違うが、格安風俗に行った時のことを思い出した。
出てきたのがフツーの60代半ばくらいのかなり瘦せた人(それ専門系の店ではない)。
この手の怖い(?)話には、案外似たような体験が元になっているのかもしれない。
悪夢でしたね。
事実は小説より奇なりですね。
怖かったと思います。