マッチングアプリの怪物
投稿者:ねこまんま (1)
「すみません、今母がお手洗いに行ってて…あともう少しで帰って来ると思うんですけど…」
と申し訳なさそうに僕に言いました。
それを聞いた僕は
「え?親同伴なの?」
と心の中で呟きましたが
「まぁでもこんな綺麗な娘さんなんだからそりゃお母さんからすれば心配にもなるよな」
と自分の中で納得しました。
するとそれから程なくして
「あ、お母さーん!こっちこっち!」
とAさんが僕の背後の方を見て手を振りながら声を上げました。
「Aさんがこれだけ綺麗なんだ、お母さんもさぞ美人なんだろうなぁ」
と期待しながら振り返るとそこには目を疑うような現実が待ち受けていました。
山姥のようにボサボサの金髪
ゆうに180センチはあろうかという長身
まるで荒地の魔女のような服の上からでもわかるダルダルとした贅肉に覆われた肥満体型
歯がほとんど抜け落ちたニヤニヤとした口元、そして
「おまたせしてごめんねぇ!便所がちょっと混んでてねぇ!ガッハッハッ!」
とダミ声混じりの声で豪快に笑う、とてもAさんの肉親とは思えない容姿の女性?がそこに立っていました。
この時の僕は比喩でもなく文字通り開いた口が塞がらない状態だったと思います。
「こんなにも似ていない親子がいるのか?」
「いやひょっとすると昔は美人だったのかもしれない」
「そもそも継母で血の繋がりがないとか?」
などいろんな憶測を脳内でグルグルと駆け巡らせていると一切の猶予も許す事なくAさんの母親からダミ声混じりのその声で衝撃の一言が発されました。
「はじめまして、私がAです。」
「え?」
その時僕ははじめて声が出ました。
「んん?どうしたのぉ〜?」
と僕の顔を覗いてくる母親
状況がまったく理解できませんでした。
いや、理解したくありませんでした。
話は違うが、格安風俗に行った時のことを思い出した。
出てきたのがフツーの60代半ばくらいのかなり瘦せた人(それ専門系の店ではない)。
この手の怖い(?)話には、案外似たような体験が元になっているのかもしれない。
悪夢でしたね。
事実は小説より奇なりですね。
怖かったと思います。