マッチングアプリの怪物
投稿者:ねこまんま (1)
変な事書いてないよな?気持ち悪がられないよな?と何度も何度も自分の文章を添削しました。
しかしマッチングアプリでは返事の遅い男は女性から嫌われると聞いていたので30分ほど経った末にようやく文章をコピーペーストして相手の女性に送信しました。
そこからは趣味が同じという事もありメッセージのやり取りがかなり順調に続いたと思います。
そして話していく中で彼女の事についていくつかわかった事がありました。
仮に彼女の名前をAさんとして
Aさんは以前の夫からDVを受けており、このままだといずれ自分の子供にも危害が及ぶのではないかと考えて離婚に至ったそうです。
そして以前寿退社した職場に出戻りをして働きながら女手一つで子供を育てていて
そんな生活の中でもう一度夫婦として愛を育んでいけるパートナーを見つけたいと思いマッチングアプリを始めたとの事でした。
そこまでの話を聞いた僕は涙ぐみながら
「この親子を守れるのは僕しかいない、僕が2人を養うんだ!」と鼻息を荒くして意気込んでいました。
そのためにはまず会う約束を取り付けなければと思い、なんとか誘い出す口実を探しながらもそれを悟られまいと何気ないメッセージのやり取りをする事で精一杯でした。
しかしそんな僕の思惑にAさんが勘づいていたのかはわかりませんがメッセージのやり取りをする中でいつの間にかAさんにリードしてもらう形で会う約束と日程をスムーズに決める事ができました。
やはり自分よりも年上で人の親という事もあり文面からも面倒見の良さが感じられ
そんな大人の余裕から来る包容力に僕はますますAさんに惹かれていきました。
こうして毎日仕事が終わってはすぐにスマートフォンでマッチングアプリを開いてメッセージを送り合いながら約束の日を待ち焦がれていました。
Aさんのメッセージ一通で一喜一憂し、ベッドの上で足をバタつかせて声にならない声を上げる
本当に人生で一番幸せな瞬間だったと思います。
その時の僕はまさかこの後一生もののトラウマを抱える事になるなんて思ってもいませんでした。
そしていよいよ約束の日が訪れました。
待ち合わせ場所は繁華街で人通りの多い場所だったため30分早く待ち合わせ場所に到着した僕は事前にデート当日の服の色や種類などを知らせて自分を見つけてもらいやすいようにしました。
その時の僕の服装は少し背伸びをしてお洒落な友達に見繕ってもらった高級な黒のパーカーとデニムジーンズでした。
準備は万全で後はAさんが来るのを待つのみ
人生初のデートに加え、画面越しでしか知らない女性と今から会うというその事実に僕は緊張しつつも期待を膨らませ、貧乏ゆすりをしながら、キョロキョロと挙動不審に辺りを見渡しながら今か今かとAさんを待ち侘びていました。
すると後ろから
「あの、△△さんですか?」
と透き通った女性の声が聞こえました。
ドクンと高鳴る鼓動を感じながら振り返ってみるとそこに立っていたのは
さらさらとした黒髪ロングヘアーをなびかせ花柄のワンピースに身を包んだ非常に美しい女性、紛う事なきAさんでした。
写真で見るよりも綺麗なAさんを目の当たりにした僕は情けない話ですが赤面し、言葉に詰まってしまいました。
そんな僕を見てAさんはニコッと僕に微笑みかけました。
その笑顔を見て僕はますます動揺を隠せなくなり、「あ…うぅ…」となんとか声を絞り出そうとしているとAさんが
話は違うが、格安風俗に行った時のことを思い出した。
出てきたのがフツーの60代半ばくらいのかなり瘦せた人(それ専門系の店ではない)。
この手の怖い(?)話には、案外似たような体験が元になっているのかもしれない。
悪夢でしたね。
事実は小説より奇なりですね。
怖かったと思います。