あいらちゃん
投稿者:やおよろず やお (6)
「お疲れ様です〜!」
「あ、お疲れ様…。」
「あの。多分勘違いじゃないと思うんですけど、あやかさん(私の源氏名)って…みえてる人、ですよね?」
「あー………うん。」
「やっぱり。じゃぁ私の後ろ。気になってたんですね。」
「うん……。けど見えるだけでお祓いとかできないし、よくわからないからあいらちゃんが困ってるならお祓いとか……」
「あはははははははは!!!!!」
あいかちゃんは急に笑い出した。
いつもみたいなにこやかな笑顔で、あいかちゃんはこっちを見て話を続ける。
「私、寂しがりやなんです。だからお祓いとかしませんよ。
知ってます?死霊ってね、最初は恨みを抱いてずっと憑いててくれたりするんですけどだんだん何に恨んでるのか忘れちゃったり、満足したりすると気がついたら消えちゃうの。けどね」
「生き霊は生きてる限り、ずーーーっと一緒にいてくれるんですよ」
ニコニコとしたあいらちゃんの後ろには
虚な表情の男性や、ぶつぶつ呟いているお客さんの姿、そして絡みつくようにいる動物たち
この子はどこまでしてきたのだろうか…
この子の笑顔の狂気に私は耐えられず、何も言わずに走って家へと帰った。
次の日、気まずいなと思いながら出勤すると
あいらちゃんの姿はなかった。
誰にも理由は告げずに辞めた。
よくあることだ。
あぁ、よかった。
とりあえずは気持ち悪い思いしなくて済むか…って思ってたの。
けど甘かった。
振り向くといるの、あいらちゃんが
あの笑顔で、いろんなものつけたあいらちゃんが私の後ろに。
私はあいらちゃんの言葉を思い出した
「生き霊は生きてる限り、ずーーーっと一緒にいてくれるんですよ」
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