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心霊

やおよろず やおさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

笑うシミ
短編 2024/09/01 13:31 722view

お前ら秘密基地を作ったことある?

俺がガキの頃、友達と集まっては「秘密基地」を作ってた。
みんなには内緒で、ひとりで作ったこともあったっけ。

公園に生えてるツツジの茂みの中とか、ススキ原っぱの中とか
まぁ、「秘密基地」なんて言っても、実際には誰にでも見つかる場所だから、全然秘密じゃなかったんだけどな(笑)

でも、俺には特別な場所があったんだ。
公園の隅にある雑木林。そこを少し進むと、朽ちた百葉箱のような小さな小屋と壊れた塀があった。その塀には、誰かが描いた落書きがあってな。人の形のような、アメーバのようなそんな落書きだ(笑)

その頃の俺は、ひとりでそこに行っては、その落書きに向かっていろんなことをぶちまけてた。友達と喧嘩したこと、親に怒られたこと…くだらないことばかりだったけど、不思議とその塀に話すと心が軽くなったんだ。

ただ、ある時気づいたんだ。

その落書きが、来るたびに黒ずんでることに。

最初は「雨のせいかな」とか、「古いから仕方ない」と思ってた。
でも、その黒ずみ方が尋常じゃなくて、まるで塀に染み込んでいくようだった。
日に日に濃くなって、しまいには塀の色と完全に違う黒さになってた。

ある日、それがどうしようもなく気味悪く感じて、俺は逃げるようにその場を後にした。
それ以来、二度とその場所には近づかなかった。

月日は流れて、今じゃ俺もすっかりいい年になった。
ある夜、俺は仕事終わりに同僚と飲んで帰った。
飲み会で同僚の子どもの話になったんだが、

どうやら秘密基地つくって遊んでるらしい。

「今の子でもそうやって遊ぶんだなー」

なんだか懐かしさが込み上げてきて、
酔い覚ましも兼ねて、秘密基地をよく作った公園まで足を延ばしてみたんだ。

当時の「秘密基地」は、まだ痕跡が残っていて、
「きっとあいつの子どもとかも使ってるんだろう」
そう思うとなんだか嬉しくなった。

気も大きくなり、ついでにあのお気に入りだった雑木林にも行ってみようと思い立ったんだ。
当時の恐怖なんてこれっぽっちも覚えてなくてさ。

スマホのライトを頼りに、久しぶりにその奥へと足を進めた。

そして見えてきた、あの朽ちた小屋と塀。

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