心霊スポットに行った同級生の話
投稿者:とくのしん (65)
これは大学時代の友哉という友達の話なんですけど、そいつは毎晩遊び歩いて授業はろくに出てこないし、テストは白紙で出しちゃうし、単位落とそうがお構いなしなヤツでして。破天荒なヤツでしたけど明るい性格でしたから、男女ともに人気がありました。
本当にノリ良くて、基本的に誘われたら全部ついていくってスタンス。お前、本当にいつでもどこでも付き合うよなって言うと
「遊べるうちに遊んどかないともったいないじゃん」
とあっけらかん答えていたのを記憶しています。それを聞いて一理あるなと思いましたけどね(笑)
2年の夏休みでした。仲間内で集まって飯食ったあとに、そのうちの一人が心霊スポットに行こうと言い出したんです。時刻は0時過ぎだったにも限らず、その場に自分含めて5人いたんですけどみんな乗り気になった。でも友哉だけは首を縦に振らないんですね。いつもだったら真っ先に行くと言い出すヤツが暗い顔しているんですよ。
「友哉、お前もこいよ」
言い出しっぺが友哉に声を掛けるんですが、俺は行かないの一点張り。ビビってんのかwとみんなで茶化しても「そういうのじゃないし、とにかく俺はいい」と頑なに拒否をする。そんな態度にみんな少し白け始めてきて。一番の盛り上げ役が来ないとなると、そりゃテンションも下がるじゃないですか。で、そのうちの一人が友哉に質問するんですよ。
「お前、心霊とかダメだっけ?」
「・・・ダメじゃないけどさ」
「ならなんで来ないのよ?」
少し間を置いて、友哉が全員の顔を見て言うんです。
「お前らだから言うけど・・・」
神妙な面持ちでそう前置きしたあとに
「あのさ、別に信じてくれとかそういうわけでもない。別に信じなくてもいいんだけど」
なかなか本題に入らない友哉でしたが、
「実はさ、小学校のときの友達が一人死んでるんだよ、心霊スポットに行って・・・」
友哉が小学生の5年生のとき、ユウヤという仲のいい友達がいた。
そのユウヤっていうのも友哉に負けず劣らずの破天荒なヤツだったそうで。ある日、ユウヤがどこから聞いてきたのか隣の学区に心霊スポットがあるという噂を聞いてきた。そこは数年前に、家主が家に火をつけて一家心中したという。よくある話だなぁと聞いていたんだけど、その日の放課後にそこに行ってみないかと誘ってきたそうで。怖いもの見たさに二つ返事で友哉も賛成し、その日の放課後に二人で行くことになった。
「子供の足でさ、1時間弱だったかな?結構歩いたんだけど迷うことなくすんなりと着いた」
そこの心霊スポットというのが、市内の総合病院の裏手にあるという噂だったんだけど、その噂通りにあったという。見るからに広い敷地の門扉部分に立入禁止のバリケードが設置されていて、奥には豪邸という表現がぴったりの家が見えた。火事で燃えたという話の通り、ところどころ焼け落ちていたけど家自体の形はしっかりと残っていたそうだ。怖いもの知らずの二人の目から見ても、かなり異様な雰囲気を漂わせていたらしい。
このまま満足して帰ればよかったのに、小学校の高学年の男子ともなると、やっぱり武勇伝が欲しい年頃だったんでしょうね。どちらが言い出したかは今となっては定かではないが、中に入って探索しようということになった。まぁ相当不気味な雰囲気だったらしいので、昼間でも幽霊が出るんじゃないか?みたいな話になったそうで。
入口になるようなところはないかとバリケートに沿って歩いていると、一部だけバリケートがズレているところがあった。恐らく前に立ち入ったヤツがそのままにしたのか、その隙間から敷地内に入ると、本当に異様な雰囲気を感じたそうだ。外から見るのと中から見るのでは全然違ったそうなんですよ。庭は草がぼうぼう伸びているんですけど、それが自分たちの背丈くらいあって先が見えないくらい。庭のアプローチはところどころひび割れていて、そこからまた雑草が伸びている。アプローチを歩いて家の前まで来ると、焼け焦げた家が本当に不気味に見えた。さすがにそれを目の前にして「どうする?入る?」なんてお互い確認しあいながら、友哉が引くタイプのドアノブに手をかけると、鍵がかかっていなかった。
「よし!入ろう!」
意を決してドアを開けると、開けた先の家の中も煤で真っ黒。とにかく見える範囲全てが黒色という状況に、足を踏み入れたことを後悔するレベルだったという。
玄関から廊下がまっすぐ伸びていて左右にドアが1つずつ、奥にもドアが1つあってそこは開いている。玄関入ってすぐ左手に階段、天井部分は吹き抜けになっており真上を見上げると屋根に大きな穴が開いていて空が見えた。
それでここからが不気味なんですけど、友哉が言うにはその屋根の穴から見える空の色が赤かったというんです。その日は晴れていたから普通に青空だったけど、家に入って吹き抜けから見える空が真っ赤な色をしていた。夕焼け色のオレンジがかった赤じゃなくて、本当に真っ赤って表現がぴったりな程赤かったと。そんなことある?って思わず聞いちゃいましたけど、友哉は本当だって言うんです。
ユウヤと空がおかしいと騒いでいると、廊下の奥から物音が聞こえた。廊下の突き当りは恐らくリビングだと思うんだけど、そこから今度は何かが落ちるような音がした。間髪入れずに今度は二階からもゴトゴトって物音がする。え?誰かいるのかな?って二人は身構えた。
今月の投稿作品「心霊スポットに行った親友の話」とは別の心霊スポット体験談になります。
ずっと前に書き上げていたものですが、投稿するタイミングを逃してしまったので、供養的に投稿しました。
とくのしん
まだ1ページ目ですが、友哉は読み方がユウヤとも読めるのでどことない違和感を覚えています。
片や漢字で片やカタカナ表記にしたことで、読みづらくなってしまい申し訳ございません。
次作以降で注意します。
とくのしん