心霊スポットに行った親友の話
投稿者:とくのしん (65)
「行くな!行くんやない!」
振り向いたエミの両肩をガッと掴んだ住職が語気を荒げていった。
「あの子はもう死んどる!それもタチの悪い悪霊に憑りつかれてな!あんたらが来る前から、物凄い悪い気が近付いてくるのがわかった。だから門をくぐらせんかった!ええか、あの子のことはもう忘れろ。憐れんだりもするな。可哀想なんて絶対に思ったらあかん!頼られてあんたも死ぬことになるで!現にあんたを頼ってきたんやからな!」
あまりにも現実離れした出来事に遭遇してか、ユカリはその場に立ち尽くしていた。
蝉の声に混じり、遠くで女の高笑いがかすかに聞こえた気がした。
「それでお祓いしてもろうたんやけどな。まぁそれで何も無かったんやけど」
後日談として、ユカリはその場でお祓いを受けた。その際住職から聞いた話はこうだ。
“恐らくだが、その心霊スポットに行ったときにエミは亡くなっていたと思われる。しかし、彼女自身、死んだことに気づいていなかった。生前、彼女は孤独に近い寂しい生活を送っていたのだろう。それもあって彼女は彷徨い、そして辿り着いたのはかつての親友ユカリだったのではないかという”
確かにエミの家は両親が離婚している。元々母親とは折り合いが悪かったが、彼女を引き取ったのはそんな母親だった。それを皮切りに彼女は変わってしまった。きっと寂しさを紛らわすため、悪い連中と付き合いを始めたのだろう。
何日も家を空けることが多かったようであるエミを、母親は亡くなったとも知らず探そうともしなかったそうだ。それほどまでに冷めきった親子関係だった。
「あんたを頼ったのがあの子の思いなのか、それとも彼女に憑りついた者の仕業なのかはわからん」
住職は言う。地縛霊とは一般にその地から居つく霊と思われがちだが、“人”を縛る霊をもさすという。もしかするとエミはそんな地縛霊に縛られ、親友だったユカリをも道連れにしようとしていた可能性も捨てきれないと住職は語った。
ただ、ユカリは言う。
「どうであれ、最後にエミが私を頼ってくれたのは嬉しかった。エミが変わってきたときに、もっと寄りそってあげればこんな結果にはならなかったのかもしれない。そこは悔いが残る」
と。
その後、例の心霊スポット近くの崖下からエミは見つかった。地元の林業者の人間が、崖下に転落している車を発見し通報。車内から4人の男女の遺体が見つかり、そのうちの1人がエミだった。季節は夏ということもあり、発見されたときには大分腐敗が進んでいたともいう。警察の発表では、操作を誤り崖下に落ちたとみて事件性はない事故としている。
シンプルな分、怖かったです(@_@)
↑コメントありがとうございます。怪談はやはりシンプルなのが一番怖いかもしれませんね。
9月も大賞受賞になりました。連続10ヵ月の受賞ですが、毎度嬉しく思います。
投票ありがとうございました。
とくのしん
とても怖いですね。宣伝になってしまいますが、私はひやなよと言います。まだ始めたばかりで、三作品しかありませんがぜひ読んでほしいと思います。宣伝申し訳ありません。
とても怖いですね
宣伝申し訳ありません。私はひやなよと言います。まだ始めたばかりで、三作品しかありませんがぜひ読んでほしいと思います。よろしくお願いします。ちなみに作品もとても怖く、ゾクゾクしました!
関西弁に違和感があります
怖かったです