奇々怪々 お知らせ

呪い・祟り

ねこじろうさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

S村からの電話
長編 2024/09/01 07:58 30,490view
3

「あの日村山さんと訪れたS村に行ってみたんだよ。

今はどうなっているか気になってね。

施設で仲谷に面会し電車ローカルバスと乗り継いだ後、汗を拭いながら農道を歩きあの鬱蒼とした木立の前に立った時は、もう随分日も暮れかけていたな。

そしてそこを抜けた先に広がった光景に俺は愕然としたんだ」

ここで田嶋は一旦口をつぐみ俺の顔を見てゴクリと生唾を飲み込むと続ける。

「そこには家屋など一軒もなかった。

あったのは夕暮れの朱に染まった荒れ果てた寂しげな共同墓地だけだった」

「え!?じゃあかつてお前が上司と行ってから同僚を助けだしたS村というのは?」

真剣な目で尋ねる俺を横目に田嶋は最後に一つ大きくため息をつくと、こう言った。

「分からん。

ただはっきり言えることはあれは夢や幻なんかではなく、現実に起こったことということ。

そして今も仲谷は大阪府M市の郊外にあるあの医療施設で一人、誰もいない暗闇に向かって繰り返し怪しげな商品の売り込みをしているということだけだ」

【了】

10/10
コメント(3)
  • 怖かったですヽ⁠༼⁠⁰⁠o⁠⁰⁠;⁠༽⁠ノ

    2024/09/28/21:33
  • お祓いしてもらえばいいのに。

    2024/10/01/10:02
  • コメントありがとうございます。
    ━ねこじろう

    2024/10/04/09:07

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。