ハイキング
投稿者:タンドリーチキン (2)
俺はAが疲れたのかと思い、『おい、無理せずまだ寝てろよ。』と顔を覗き込んだ。
『あっ、、』俺は思わず声を出してしまった。
覗き込んだAの顔が、先ほど聞いたDの顔にそっくりだったからだ。目は真っ黒で、口はいつの間にか大きく裂けている。
『う、うわぁー!!』俺は思わず病室から逃げ出した。
看護師さんに『廊下は走らないでください!』と言われた気もするが、無我夢中で廊下も階段も走り続けた。後ろからAが追いかけてくるのではないかと気が気でない。やっとの思いで病院の外に出る。
太陽の下で明るい駐車場までくると少し息を整えて、冷静になってきた。Aの病室に戻るのは怖いが、Aがどうなったか心配でもある。今日は一旦帰宅し、明日の退院時にまた見舞いに行こうと決めた。とにかく、Aのことは考えたくなかった。
その後どうなったかというと、B、C、Dは必死の捜索も実らず、遺体で発見された。獣に荒らされた跡があるとのこと。眼球が無く口の中も引き裂かれていて、お葬式では遺体は棺の中にあるだけで見ることは叶わなかった。
Aは病室から飛び降りた。奇しくもB、C、Dの遺体が発見された日にAも亡くなった。俺は警察から事情聴取を受けたが、特に様子に変わりはなかったと答えた。あの不気味な話やおぞましい顔について信じてもらえるとは思えない。
周りの仲が良かった友達4人が死んで、俺は家に引き篭もるようになった。最後に見たAのおぞましい顔が頭から離れない。
この話は家族にも誰にも話していない。
なぜならあのおぞましい顔を思い浮かべただけで、自分も狂ってしまいそうになるからだ。もしかしたらもう狂っているのかもしれない。時折、自分が何をしているのかわからないことがある。
この話を見た人は絶対にあのおぞましい顔を思い浮かべないでほしい。俺みたいになってしまうから。
すごくこわい~