学校近くの廃墟にあった開かない金庫の話
投稿者:ねこじろう (147)
長編
2024/06/04
14:45
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昼過ぎからローカル線の電車を乗り継ぎ、隣県N市のとある小さな駅で降りる。
そこでバスに乗り換え、中心街からはかなり郊外にある住宅街外れのバス停で降りた。
そこの名称は「N市立北小学校前」
彼はバス停前の花屋で花を一束買う。
バス停から山の方に向かって歩道をしばらく歩くと、前方にあるバックネット越しにグラウンドが見えてきた。
その向こうには千切れ雲の空の下、古びた校舎が佇んでいる。
日曜日だからなのかグラウンドには誰もいなくて、ひっそりしていた。
そこは森本の昔通っていた「N市立北小学校」。
懐かしい気持ちで学校敷地沿いの歩道を歩いていくと、やがて裏門が見えてくる。
その前には小さな公園があった。
ここは森本が放課後によくクラスメイトたちと一緒に遊んだ公園。
砂場、シーソー、滑り台、ブランコ、鉄棒、、、
様々な遊具たちを横目に公園中央の砂利地を彼が通り過ぎ進むと、すぐに出口が見えてきた。
─ここってこんなに小さい公園だったのか?
などと変に感心しながらさらに先に視線をやると、出口の向こうに鬱蒼とした竹やぶがあるのが見える。
森本は一つ軽く深呼吸をすると、そこに分け入る。
藪の中は薄暗い。
立ち並ぶ竹を慎重に避けながら彼は進んだ。
額にじんわり汗が流れてくる。
9月とはいえ日中の日差しにはまだ元気があった。
しばらくして竹藪を抜けると視界が広がり、草があちこちに生えたちょっとした更地が広がる。
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