三面鏡
投稿者:とくのしん (65)
「由紀さん!大真面目な話!私、そのお店に行ったこと何回かあるんです!偵察兼ねてじゃないですけど、結構有名なお店だったし気になって」
「うん」
「そこの店長さん、今私が言ったような感じだったんです!だからもしかすると、由紀さんが見たっていうその人、前の店長かもしれないと思うんです!」
興奮気味に話をするスカちゃんは、何かを思い出したようにスマホを取り出して何かを検索し始めました。
「あったあった!前のお店のページ。えっと・・・確かスタッフ紹介のページに・・・いた!いたいた!由紀さんが見た人、この人じゃないですか?」
スカちゃんが見せてきたスマホの画面に表示されたのは前のお店のページ。そこに写っているスタッフのなかに確かにいました・・・私が見た女性とそっくりな女性が。
「この人だ・・・」
思わず漏れた声にスカちゃんが声を大にしていいました。
「由紀さん!この鏡、処分しましょうよ!やっぱり何かありますって!」
私は三面鏡を眺めながら、スカちゃんのその提案を受け入れようと考えていました。。
「お客様も怖がるし・・・もったいないけど捨てようか」
凄く気に入った三面鏡だけど、私は処分することを決意しました。
「それじゃ由紀さん。この鏡捨てながら私帰りますね」
閉店時間を迎えレジの締めや掃除が終わったあと、スカちゃんが私に声を掛けてきました。
「今度業者さんに取りに来てもらうのにいいの?」
「なんだかお店に置いておくのも気持ち悪いじゃないですか」
「確かにね・・・でも私が捨てるからいいのに」
「いいんです。帰り道に粗大ごみのゴミ捨て場ありますから」
「それじゃお言葉に甘えて・・・スカちゃんお疲れ様」
「お疲れ様です」
そういってスカちゃんは鏡を大き目な紙袋にに入れてお店を後にしました。
翌日、お店に行くといつも私よりも早く出勤しているスカちゃんの姿がありません。
(珍しく寝坊でもしたのかな・・・)
一人で開店準備を始めるも、スカちゃんはなかなかお店に出てきません。
開店準備を終えて時計を見ると、開店15分前。何かあったかと思って心配していましたが、間もなく予約のお客様が来店されました。その日、結局スカちゃんは出勤することはありませんでした。おかげで天手古舞な1日でしたが、何とか切り抜けると同時に、改めてスカちゃんの存在の大きさも思い知った1日になりました。
閉店後の掃除を1人しながら、私はスカちゃんのことを考えていました。途中、何度か連絡を入れたのですが反応はなし。独立する前から彼女とは一緒に働いていましたが、記憶にある限り無断欠勤をしたことは一度もありません。以前、彼氏にフラれた翌日も目を腫らしながらもちゃんと出勤したし、そんな彼女が連絡もなしに休むなんて余程のことがあったのだろうと私は心底心配になりました。
(もしかして事故?それとも病気?)
仕事の合間送ったLINEを再度確認するも、既読すらついていません。
なんでそんなヤバい物を粗大ゴミ扱いするねん…
普通はお寺に預けるやろ!
意外とお寺というのはハードルが高いものですよ。お金もかかると思うと尚更です。
鏡は拾ったりもらったりするのは縁起悪いって昔から言われてるらしいかね
さ
三面鏡は合わせ鏡になるし怖いイメージがある
鏡は異世界に通じてるらしいよ
たくさんの投票ありがとうございました。
投票してくれた方々に感謝です。
とくのしん
最後の利き手が変わるところは意味深