三面鏡
投稿者:とくのしん (65)
その日、飛び込みのお客様がお帰りになり閉店時間よりも少し早い時間にお店を閉めることにしました。天気予報では夜から天気が急変するということもあり、スカちゃんと談笑しながら掃除を済ませて午後20時きっかりにお店をあとにしました。二人で歩きながら帰り道を急いでいるときに私は途中忘れ物をしたことに気づいて、スカちゃんと別れて1人お店に戻りました。
「あったあった。やっぱり充電したままにしてたわ」
プライベート用のスマホをうっかり忘れた私は、スマホを開いて通知を確認したあとバッグにしまいました。再び店を出ようとしたとき、ふと例の三面鏡が気になったのです。防犯のために最低限の照明しか点けていない薄暗い店内に、異質な存在感を醸し出すアンティーク調の三面鏡。
(これにはやっぱり何かあるのかも・・・)
頻発する異変を確かめるべく、その雰囲気に少し怖気づきながらも、三面鏡を恐る恐る開いてみました。
「・・・やっぱり何もないよね」
三面鏡には私が映っているだけでした。正面左右、どこから見ても私が映っているだけ。笑ってみたり、左右に首を振ってみたり、変顔しても特に変わった様子はありません。やっぱり気のせいだろう、私は三面鏡を閉じようとしたときです。
ゴロゴロゴロ・・・と外から雷が鳴る音が聞こえました。同時に空が光りました。
「やばい・・・雨降ってきそう」
外を眺めていた私は、雨が降る前に帰らなきゃと三面鏡に再び視線を移したときでした。
「きゃああああ!」
雷が光ると同時に、三面鏡に見知らぬ女性が映っていました。ほんの一瞬でしたが、眩い光が反射した鏡の中から恨めしそうにこちらを見ていたのです。
私は悲鳴を上げておもわず三面鏡を床に落としました。幸い割れることはなかったのですが、床に落ちた三面鏡をもう一度確認するとその女性は消えていました。怖くなった私は、鏡をそのままにして電気を消してお店をあとにしたのです。
「実はねスカちゃん・・・」
開店前の準備をしながら彼女に昨夜の出来事を話しました。スカちゃんは少し強張った表情でそれを聞いていました。
「あー、それで鏡が床に落ちていたんですね・・・」
私の話を聞いて、三面鏡が床に落ちていた理由に納得したスカちゃんは、続いて質問をしてきました。
「由紀さん、その女性ってどんな人でした?」
「ほんの一瞬だったからよく覚えてないんだけど、髪が肩くらいのボブで・・・年齢は私と同じくらいかな」
「その人、少しキツめの・・・菜々緒っぽい顔してませんでした?」
「あ~・・・言われてみればそんな顔だったかも!」
「・・・由紀さん、やっぱりその鏡呪われてるかもですよ・・・」
「なんで?」
スカちゃんはやや引きつった表情で三面鏡に視線を移して
「多分ですけど・・・由紀さんが見たっていう女の人。ここの前の店長だと思います・・・」
その一言に全身に鳥肌が立ちました。
「やめてよ~スカちゃん!鳥肌立っちゃったじゃない!」
なんでそんなヤバい物を粗大ゴミ扱いするねん…
普通はお寺に預けるやろ!
意外とお寺というのはハードルが高いものですよ。お金もかかると思うと尚更です。
鏡は拾ったりもらったりするのは縁起悪いって昔から言われてるらしいかね
さ
三面鏡は合わせ鏡になるし怖いイメージがある
鏡は異世界に通じてるらしいよ
たくさんの投票ありがとうございました。
投票してくれた方々に感謝です。
とくのしん
最後の利き手が変わるところは意味深
鏡の中のスカちゃんと本物のスカちゃんが入れ替わったため、利き手が逆になった。
これは鏡の前で右腕を挙げると鏡では左腕を上げているように見えるのと同じ。
鏡って玄関に置くもので一番だめらしいよ