体の上を這うナニか
投稿者:みーやっき (2)
いつもこういう怖い系の明晰夢の場合は、なんとか全力を振り絞って、体を動かし、叫び声をあげて、明晰夢を強制リセットするしかなかった。
今回もなんとかこの夢を振り切ろうと、力を振り絞ろうとした。なんとか力を振り絞れれば、目が覚め、また現実に引き戻されるに違いない。
だがその思惑を読み取ったのか、相手が両手で体を押さえつけてきた。
逃がしはしないとばかりに体が押さえつけられ、相手の体重がのしかかってくる。
本当に誰かがのしかかっているように、相手の身体が密着し、その重さを感じる。
そして舌先と思われる何かが体の中をうねうねと動き始める。
それは腹部まで達していた。腹の中から腹部をまさぐられている感触。
これまで感じたことがない感触で、それは否応のない恐怖だった。
「嘘だろ、もうやめてくれ」 必死に耐える中でそう考えるしかなかった。
このまま体の中を喰われるのではないかと感じていると、相手の口元に熱い何かを感じた。
その熱い何かは唇の部分から、相手の舌を伝って、喉、喉奥と徐々に進んでいく。
いや相手の舌を伝わるというよりも、その舌の中を熱い何かがゆっくりと通っていく感じだ。
何かが体の中に入ってくる・・・・。
それが喉を通り、胸部を通り、腹部辺りに達した頃、その場所でふいにチクっとした痛みが走った。
それは体の中を小さな虫に噛まれたような感触だった。
痛くはなかったが、少し強くつままれるような感じ。
その違和感を感じた瞬間、さきほどまで自分にのしかかっていた重みがふっと軽くなった。
押さえつけられていた力が解放される。
そして、それに合わせてゆっくりと舌先が引き抜かれていく。
喉を圧迫していたそれが、ゆっくりと引き抜かれていき、ついには口の外に出たとき、
相手が重ねていた唇をゆっくりと離した。
金縛りのためか、大きく息を吸い込むことはできなかったが、それでも安堵感を感じた。
ようやく終わったと思った。
だが相手の存在がまだ感じられた。
まだ自分の上に体を重ねていた。しかも自分の顔の数センチ前にまだ相手の顔があるのが分かった。長いであろう髪がまだ頬に触れていたからだ。
金縛りのせいで目を開けられなかったが、もしそうでなくても目は開けられなかっただろう。
それを見るのは恐ろしすぎた。早く消えてくれと願う。
だが相手は動かず、こちらをじっと見ているようだった。
相手はまだ名残惜しそうに体を重ねていて、その状態に耐えるしかなかった。
怖い体験しましたね。