ニセモノ

家に帰るなり一言、母が
「あんた早退したんやって？」と私に言いました。
「普通に授業受けたし、部活が長引いてこの時間に帰ってきた。Ｙも一緒だった。」と言うと、母が電話相手に私の言葉をそのまま伝えていた。
漏れてくる音から、電話の相手がＹの母親だと気づきました。
『ちょうどＹが帰ってきたから聞いてみる。』
とＹの母親が言った。
何がなにやら分からず私はそわそわした。
Yの母親曰く、Ｙの弟が下校中に私を見たと言ったそうで。弟くんが話しかけると私が
『お腹が痛くて早退した。』と言い、家の方向に歩いていったらしい。
でも、Ｙから「あの子は早退なんてしてない。ずっと私と一緒にいた。」と聞いて

「俺は誰と話したの？」とパニックになっていたようだ。
電話が来た母も困惑しており
私も何が何だか分からなくて、私の振りをしている人間がいる？と思うと怖くなりました。

その後も弟くんは、「あれはAちゃんで間違いない」と譲らないらしく、Ｙと少し言い合いになったらしい。

それからというもの、私？を見つけた人は多く、声をかけると普通に接してくれるらしい。
特に高校生になってから目撃者が増え
・バイト先の常連
・同級生
・同級生の母親たち
・後輩

などなどたくさんの人が見かけているのだが

中にはリアルタイムで、「今〇〇にいるでしょう」と連絡してくる人もいた。
友人の目の前に確かに私はいるようだが、
私は全く違う場所にいる
これが日常茶飯事になってしまった。

スマホケース
制服
声まで全く同じと言う。
私服のときは、大抵私のお気に入りの服を着ているらしい。
でも、友人らから声をかけない限り、ニセモノから近づいてくることは無いと言う。